どこかで「虹は空気中の水滴によって反射されてできる」と聞いたことがあるかと思います。具体的には、
1.空気中の水滴に太陽光が入射する
2.水滴内に入るときに光が屈折する
3.屈折した光が、水滴内で1回or2回反射する
4.水滴から出てくる
というプロセスを経て、我々の目に光が届いてくるのですが、
光はその色によって屈折率が異なるため、"2"の段階で、太陽光がさまざまな色の光に分けられます。水滴がプリズムのような役割を果たすわけです。
"3"の段階で、水滴内で1回反射して出てきた光を「3次散乱光」、2回反射して出てきた光を「4次散乱光」といいます。虹は、この3次散乱光と4次散乱光が我々の目に届いた結果、見えるものなのです。
さらに詳しく言うと、虹は、上の画像のように、明るいもの(主虹)と暗いもの(副虹)の2種類が同時に見えるのですが、3次散乱光が主虹を作り、4次散乱光が副虹を作るのです。(ちなみに画像を見ればわかると思いますが、主虹と副虹では、色の順番が異なっています。この理由は、下の考察で述べています。)
今回は、この虹ができる角度について考えてみました。あわせて、色の順番が主虹と副虹で違う理由、そして主虹と副虹の間にできる「アレキサンダーの暗帯」と呼ばれるものについて、考えました。
前回と同じく、今回もpdfです。手抜きですいません。。。
こちらからどうぞ。
高校生の考察ノート
2013/09/01
2013/06/16
気体の状態変化…吸熱?発熱?
久しぶりの投稿です。今回は、最近マイブームの熱力学について考えてみました。テーマは、「ある状態変化が吸熱なのか、発熱なのか」です。これは、熱効率を考えるときに非常に重要な問題となってきます。
PV図にすると右上がり(↗)or左下がり(↙)となる過程では、その全過程を通して常に吸熱か発熱か、どちらかに決まります(右上がりならば常に吸熱、左下がりならば常に発熱)。しかし右下がり(↘)or左上がり(↖)になるような変化過程は、そう簡単にはいきません。変化している途中で吸熱から発熱に入れ替わったり、またはその逆、というのがあり得てしまうのです。
これは、次のように熱効率を聞かれたときに、きちんと考えなければいけない問題となります。
この問題、A→Bの途中で吸熱から発熱に入れ替わってしまいます。
では、どこで入れ替わるのでしょうか。それは、このpdfをご覧ください。
PV図にすると右上がり(↗)or左下がり(↙)となる過程では、その全過程を通して常に吸熱か発熱か、どちらかに決まります(右上がりならば常に吸熱、左下がりならば常に発熱)。しかし右下がり(↘)or左上がり(↖)になるような変化過程は、そう簡単にはいきません。変化している途中で吸熱から発熱に入れ替わったり、またはその逆、というのがあり得てしまうのです。
右下がりの過程 |
滑らかに動くピストンのついた円筒容器に単原子分子理想気体を入れ、図に示す通り、圧力pと体積VをAの状態からB,Cの状態を経て再びAの状態に戻るように変化させた。ただし、すべての区間は直線に沿っての変化である。
この装置を熱機関として利用したときの熱効率を求めよ。(東工大・2000年(改)/図は東進過去問データベースより)
この問題、A→Bの途中で吸熱から発熱に入れ替わってしまいます。
では、どこで入れ替わるのでしょうか。それは、このpdfをご覧ください。
2012/11/26
第二宇宙速度の求め方
だいぶ昔に、第一宇宙速度の求め方を投稿しました。今度は第二宇宙速度です。
第二宇宙速度とは、ある惑星から物体を放り投げたとき、その物体が惑星の重力を振りきる(惑星に落下しない)ための最小の速度です。つまり、第二宇宙速度で放り投げた物体は、永遠に惑星から遠ざかり続けます。第二宇宙速度よりも遅い速度で投げると、物体は惑星に落下してしまいます。
さて、では第二宇宙速度を求めてみましょう。
問題設定としては、以下のような感じです。
惑星から、鉛直上向きに、初速v_0で投げ上げます。物体は時刻tのとき位置xに所在し、速度vを持っています。惑星の質量をM、物体の質量をmとします。また、x軸の原点を惑星の中心にとります。
まずはじめに考えたやり方:「運動方程式をそのまま積分しちゃえ!」
物体が受ける力Fは、万有引力の法則より
です。よって運動方程式は
(Fはx軸と向きが逆なので、マイナスがつきます。)
これを時間で積分すれば速度が出てくるはずです。そこから速度が永遠に正の値をとるための条件を求めれば、第二宇宙速度が分かります。というわけで積分してみましょう。
さて、右辺の積分ですが…xはtの関数です。この積分、たぶんできませんよね。
というわけで、この方法は諦めます。
仕方ないので次に考えたやり方:「エネルギーを使おう」
この問題では、以下の力学的エネルギー保存則が成り立ちます。
(これは、さきほどの運動方程式をxで積分すれば得られます。)
さて、一番最初に、地表から初速v_0で真上に投げあげています。このときの全力学的エネルギーは、惑星の半径(=地表におけるx座標)をRとすれば、
よって力学的エネルギー保存則は
と表されます。
さて、ここで問題が…教科書などには、「無限遠点でv≧0となるためには、(無限遠点での運動エネルギー)≧0」などと書かれていますが、これは本当なのでしょうか。僕はこの点に疑問を持ちました。
エネルギーというのはスカラー量です。だから、物体がどこかしらの向きに速さを持っていれば、その物体はエネルギーを持っていることになってしまいます。つまり、(運動エネルギー)≧0だからといって、物体が惑星から離れる向きに速度を持っているとは限らないのです。(この部分の記述について、下に追記(11/30)があります。)
ここからどのように議論を進めていけばよいでしょうか…
とりあえず、先ほどのエネルギー保存則の式を、vについて解いてみましょう。
これは、「位置が指定されれば速度が定まる」という関数になっています。
根号が出てきました。根号の中身は正でなければなりませんから、任意のxについて以下の不等式を満たさなければなりません。
この式は、等号成立時にxが最大で右辺の値になる、ということを表していますから、物体は
まで行ける、ということを意味しています。
いま、物体は無限の彼方まで行ってほしい、つまり
となってほしいので、物体が無限の彼方まで行くための条件は、
となります。
この、√(2GM/R)という値が、第二宇宙速度となります。
うーん、なんかしっくりこないなぁ…この議論だと、v_0が第二宇宙速度よりも早くなっちゃったときに変なことが起こっちゃいそうだし…
もっとしっくりくる方法を考えて、また投稿します。何か別の方法を知っているという方は、教えていただけると嬉しいです。コメントか、またはmhasegawa.net@gmail.comまでお願いします!
(追記 11/30)
上の方に「物体がどこかしらの向きに速さを持っていれば、その物体はエネルギーを持っていることになってしまいます。つまり、(運動エネルギー)≧0だからといって、物体が惑星から離れる向きに速度を持っているとは限らないのです。」と書きました。しかし、Google+での議論から、この記述は正しくないんじゃないか…と思うようになりました。
いま、物体が無限遠点に行くときのことを考えています。さて、「無限遠点でv<0(速度が、物体が惑星に近づく向き)にある」とはどのような状況なのでしょうか。
最初、v(0)=v_0 > 0で打ち上げています。無限に時間が経った後では、v(∞)<0となります。ですから、有限の時間のうちに一度v=0とならなければなりません。v=0、つまり物体が静止しているとき、その物体が「無限に遠い」場所にいる、と表現することはできません。静止しているのですから、絶対に惑星の中心からの距離が測れるはずです。つまり、「無限遠点で速度が負」というのは、矛盾があるのです。よって、「物体が無限遠点で運動エネルギーを持っている」ならば、その速度は必ず惑星から遠ざかる向きにある、と言って良いのでしょう。
(追記 11/30)
上の方に「物体がどこかしらの向きに速さを持っていれば、その物体はエネルギーを持っていることになってしまいます。つまり、(運動エネルギー)≧0だからといって、物体が惑星から離れる向きに速度を持っているとは限らないのです。」と書きました。しかし、Google+での議論から、この記述は正しくないんじゃないか…と思うようになりました。
いま、物体が無限遠点に行くときのことを考えています。さて、「無限遠点でv<0(速度が、物体が惑星に近づく向き)にある」とはどのような状況なのでしょうか。
最初、v(0)=v_0 > 0で打ち上げています。無限に時間が経った後では、v(∞)<0となります。ですから、有限の時間のうちに一度v=0とならなければなりません。v=0、つまり物体が静止しているとき、その物体が「無限に遠い」場所にいる、と表現することはできません。静止しているのですから、絶対に惑星の中心からの距離が測れるはずです。つまり、「無限遠点で速度が負」というのは、矛盾があるのです。よって、「物体が無限遠点で運動エネルギーを持っている」ならば、その速度は必ず惑星から遠ざかる向きにある、と言って良いのでしょう。
2012/08/23
等加速度運動・第3の公式"v^2 - v0^2 = 2ax"の意味
等加速度運動といえば、教科書の一番最初に載っている重要な公式が3つあります。
今回考えるのは、一番最後の式
の意味です。
まずは次元(単位)を考えてみましょう。左辺が速度の2乗になっていますから、この式の次元は [m^2 / s^2]ですね。この単位の物理的な意味は…と考えてみても、思いつきません。そこで、両辺に 1/2 m をかけてみましょう。
どこかで見覚えがないでしょうか。よく見かける形に直すためにに、右辺の第2項 max の加速度aを重力加速度gに、変位xを高さhに書き換えて、左辺にmg×0を加えてみると…
もうお分かりでしょう。この式は、力学的エネルギー保存則を意味していたのです。
運動方程式
の両辺にvをかけます。
ここで、左辺のことを考えます。加速度 a は速度 v の微分(加速度の定義)ですから、書きなおすと
以後、淡々と(うまくいくように)計算すると
注・3行目から4行目にかけての式変形に納得ができない方は、逆に4行目の式を変形すると3行目に戻ることを確認してみてください。合成関数の微分公式より、(v × v)' = v'v + vv'です。
注・1/2 m は定数ですから、5行目から6行目にかけての式変形が成り立ちます。
よって、運動方程式の両辺に v をかけた式
今回考えるのは、一番最後の式
の意味です。
-------------------------------------------------------------
ここで一旦公式から離れて、力学的エネルギー保存則を導出しましょう(簡単のため、ここでは1次元運動を考えます)。運動方程式
の両辺にvをかけます。
ここで、左辺のことを考えます。加速度 a は速度 v の微分(加速度の定義)ですから、書きなおすと
以後、淡々と(うまくいくように)計算すると
注・3行目から4行目にかけての式変形に納得ができない方は、逆に4行目の式を変形すると3行目に戻ることを確認してみてください。合成関数の微分公式より、(v × v)' = v'v + vv'です。
注・1/2 m は定数ですから、5行目から6行目にかけての式変形が成り立ちます。
よって、運動方程式の両辺に v をかけた式
は、
と書きなおすことができます。さて、両辺を時間t=0~tで積分してみましょう。ここで、t=0のときの速度をv0、t=tのときの速度をvとします。
ここで、Fが一定のときのことを考えます。Fが一定のとき、Fは定数ですから、積分の外に出すことができます。
速度は変位の微分(速度の定義)ですから、速度を積分すると変位になります。t=0のときx=0, t=tのときx=xとする(時間tの間の変位をxとする)と、上式は
運動方程式より、ma=Fですから、さらに変形して
よって、両辺を 1/2 m で割って
条件を整理すると、
t=0 のときの速度を v0
t秒後の速度をv
t秒間の変位をx(t=0のときの座標が0, t=tのときの座標がx)
とし、
F=const.(一定)、つまりma=const. ∴a=const.(等加速度)であるときに、
運動方程式を変形して力学的エネルギー保存則を導出し、そこからさらに「等加速度運動の公式」である
が導かれることがわかりました。
2012/07/18
第一宇宙速度の求め方
第一宇宙速度とは、「地球の地表すれすれに衛星として存在するために必要な速さ」のことです。(Wikipedia)
調べれば第一宇宙速度の求め方なんていろいろと出てくるんですが、自分流に問いてみました。
「質量mの物体を、地球の接線方向に向かって投げる。このとき、この物体が地表すれすれで等速円運動を行うために必要な初速を求めよ。ただし地球の半径を6400km、重力加速度を9.8m/s^2とする。」
自分なりの解答↓
約7.9km/h。Wikipediaに書いてあった答えとも一致しました。
いかがでしょうか。
2012/05/29
(x^a)'=ax^(a-1) 〜冪関数の微分〜
数学Ⅱでは、冪関数の微分の公式として
という公式を習います。
この公式の証明は、x^a という関数を導関数の定義にあてはめて、二項定理を使って行います。
二項定理は、(α+β)^n を計算するための定理ですが、ここでのnは自然数です。ですから、二項定理による証明は、x^a のaが自然数のときでなければ成立しません(つまり、xの2乗だとか3乗だとか、という関数の微分は二項定理によって証明できますが、x^(1/2)=√x だとか、x^(-1)=1/x という関数の微分は二項定理によって証明できません)。
ですが、冒頭に挙げたの公式 (x^a)'=ax^(a-1) は、実数全体について成り立つらしい…
というわけで、これを指数関数の微分を使って証明してみました。
数学的に正しいのか、あんま自信ないけど…
ではいきます。詳しい説明は後に回して、とりあえず式を全部書いていきます。
◯1行目
対数 log_a b(底がa、真数がbの対数)とは、「底aを何乗したらbになるか」という数です。したがって、α^?=β であるとき、「底αを?乗したらβになる」ため、?はlog_α β(底がα、真数がβの対数)となります。
eとは、y=e^x というグラフの、x=0のときの微分係数が1になる、という特別な数です(正確には、こうなるようにeという数を定義した)。y=e^x を微分すると y=e^x (そのまま)になる、という性質があり、この声質を3行目から4行目にかけての式変形で使っています。
◯1行目から2行目
対数の性質
という公式を習います。
この公式の証明は、x^a という関数を導関数の定義にあてはめて、二項定理を使って行います。
二項定理は、(α+β)^n を計算するための定理ですが、ここでのnは自然数です。ですから、二項定理による証明は、x^a のaが自然数のときでなければ成立しません(つまり、xの2乗だとか3乗だとか、という関数の微分は二項定理によって証明できますが、x^(1/2)=√x だとか、x^(-1)=1/x という関数の微分は二項定理によって証明できません)。
ですが、冒頭に挙げたの公式 (x^a)'=ax^(a-1) は、実数全体について成り立つらしい…
というわけで、これを指数関数の微分を使って証明してみました。
数学的に正しいのか、あんま自信ないけど…
ではいきます。詳しい説明は後に回して、とりあえず式を全部書いていきます。
◯1行目
対数 log_a b(底がa、真数がbの対数)とは、「底aを何乗したらbになるか」という数です。したがって、α^?=β であるとき、「底αを?乗したらβになる」ため、?はlog_α β(底がα、真数がβの対数)となります。
eとは、y=e^x というグラフの、x=0のときの微分係数が1になる、という特別な数です(正確には、こうなるようにeという数を定義した)。y=e^x を微分すると y=e^x (そのまま)になる、という性質があり、この声質を3行目から4行目にかけての式変形で使っています。
◯1行目から2行目
対数の性質
◯2行目から3行目
合成関数の微分です。感覚的に、d(a log_e x) を約分すると d(e^(a log_e x))/dx、つまりe^(a log_e x) の微分になるため、とりあえず納得はしていただけると思います。
詳しい説明はここでは省きます。(気になる方はココ)
◯3行目から4行目
1行目の式変形の説明のところでも説明したとおり、eという数は特別で、e^X を微分してもそのままである、という性質があります。
a log_e x の微分は、とりあえずaは定数なので外に出せます。log_e x をxで微分すると、実は1/xになります(詳しくはココ)
◯4行目から5行目
指数法則
◯5行目から6行目
1/x = x^(-1)
◯6行目から7行目
指数法則
さて、すべて説明が終わりました。
こんなところで指数関数の微分を使ってもいいのか、すごく気になるところですが…ともかく、わりと綺麗に証明できたと思います。
いかがでしょうか。
2012/05/12
回転行列の導出には加法定理を使う?
5時間くらい前に投稿した加法定理の証明の中で、一次変換を使いましたが…
なんか循環論法になっちゃってるような気がしてきたので、確かめてみました。
ベクトルa=(p,q)をθ回転させてみます。
θ回転する変換をfとおくと
よって、θ回転する変換を表す行列は
cosθ -sinθ
sinθ cosθ
よかった、回転行列の導出には加法定理は使われてませんね。
循環論法にはなっていませんでした。
なんか循環論法になっちゃってるような気がしてきたので、確かめてみました。
ベクトルa=(p,q)をθ回転させてみます。
θ回転する変換をfとおくと
よって、θ回転する変換を表す行列は
cosθ -sinθ
sinθ cosθ
よかった、回転行列の導出には加法定理は使われてませんね。
循環論法にはなっていませんでした。
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